●問2ポイント:相談者の性格や考え方、コミュニケーションを変えるのは難しい
例えば、相談者の性格について。客観的に見て相談者の性格に問題がみられる面もあるかもしれません。けれど性格を変えるのは難しいことです。あなたが自分の性格を変えることが出来る人なら、そうではないのでしょうが、それがなかなか難しいことはお分かりだと思います。だとしたら、性格改善について挙げるよりも、他の問題を検討したほうがいいケースが多々見られます。性格をそのままでいいということではありません。他に、先に解決すべき問題点があれば、そちらを先に挙げて出来れば性格についてこういう方策を立てて改善していきたいというようにしていきます。
人間関係やコミュニケーションについても同様です。例えば、自身では部下や他部署など人間関係の問題はないと考える相談者がいたとします、逐語記録から読み取れる範囲では問題があるのではないかと考えられます。この相談者に対して、コミュニケーションの問題点は挙げるべきではないとは言えませんが、コミュニケーションの問題点を挙げたとして、どのように改善していくかまでを、問3の方策できちんと書けるかどうかです。そこまで考えてコミュニケーション改善を問題点として挙げるならオッケーです。
もうひとつ、部下や他部署とのコミュニケーションが取れていないという問題点を挙げたとします。これは先のコミュニケーションについてと言うのは別の観点ですが、解決が難しい問題点です。それは、すでに辞めた会社の人と社内で仕事上での人間関係を今から改善するのは、不可能です。(時間を元に戻して働いていた当時に、働いている仕事上での人間関係を改善することは出来ません。)当時の上司や他部署の人と私生活での人間関係を今から改善することは出来ますが、それを改善したとして相談者の問題解決につながるかどうかです。単なる人間関係ではなく、仕事の中での人間関係を変えていかないと問題解決にはつながりませんが、すでに退職した職場において仕事の中での人間関係を変えていくことは、事実上不可能です。
過去の出来事以外でも、世間の動向とか、社会的通念とか、変えられないものや変えるのが非常に難しいものは色々あります。変えられないものや変えるのが非常に難しい問題点を変えることを選択するのか、他に変えられる問題点を選択していくかどちらにするかと言えば、変えられる問題点を変えていくことを選択していくのが現実的です。
コンサルタント視点の問題点を挙げるときには、その問題点を解決・改善する方法まで考えて挙げるようにしていきましょう。
これでも考え方や性格を変えられるという方もいらっしゃるかもしれません。アサーションという方法があることは、もちろん私も知っています。けれども、考え方や性格を変えることが全くできないわけではありませんが、時間がかかります。後で項目として出てきますが、キャリアコンサルティングでは、ある程度の時間内に問題解決を行っていく必要があります。時間という面も併せて考えると、やはり考え方や性格を変えていくのは難しいものなのです。
相談者の考え方や性格を問題点として取り上げる答案は多いのですが、私はおススメしません。難しいものを問題点として取り上げるよりも、確実に変えられそうな問題点を取り上げたほうが、問題解決しやすくなるからです。
変えられない問題点として多く見られる解答のひとつは、「~と思い込んでいる。」です。
これについては、別途説明します。